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スーパーマーケットの経営環境と課題 2024

アスピランツは、スーパーマーケット経営に影響を与える環境要素と して、自然環境経済環境消費者競合および雇用の五つを挙げています。また、スーパーマーケット経営における今日的課題として、マーチャンダイジング、ローコストオペレーション、マーケティング、クレンリネスおよびサステナビリティの五つを挙げています。

このように、アスピランツは、個別システム化要請への対応のみならず、コンサルティングからシステム導入に渡るワンストップ・サービスを通して、全体最適を図るしくみとしてのソリューションを提供します。

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自然環境

自然環境については、気候変動資源枯渇および感染症を挙げています。これらのスーパーマーケットに与える影響としては、商品調達機能の低下、商品販売機能の損壊、商品需給予測の破綻などが想定されます。

気候変動による需給の変化に対しては、広域の天気予報に留まらず、気象予測サービス・プロバイダーからの商圏地域情報を加味し、AIを駆使した需要予測システムを構築していく必要があります。また、災害に対しては、食のライフラインを担う者の社会的責任として、店舗損壊などに対するリスクマネジメントに加えて、特定商品の一定量の備蓄を考えていかなければならないでしょう。

資源枯渇に対しては、調達商品の長期的な需給見通しに関する情報を確保していくことが重要ですが、それだけではなく、グロサリー、日配のみならず生鮮食品においても、リスクを負った生産者との直接買取契約、更には、アパレルのビジネスモデルのひとつである製造小売業(SPA: Specialty store retailer of Private label Apparel)と同様な PB 商品開発を目指していく必要があると思われます。また、昨今注目されている野菜栽培の自社工業化も検討されるべき課題です。

新型コロナウィルス感染症は、ここに来て落ち着きを見せているものの、また新たな感染症が発生する可能性は誰も否定できません。今般のコロナ禍は、企業においても、非接触の為のテレワークが活用され、オフィスの在り方、組織の在り方、そして働き方に対する 見直しの起爆剤となりました。リモートワークが余儀なくされたことによって、その実現性が確認され、今後の 5G ネットワークの展開と相俟って、地方への機能分散や移住あるいは二拠点生活、ワーケーションの進展がもたらされるとの指摘もあります。いずれにせよ、今般の新型コロナウィルス感染症を契機に、一極集中、企業活動、そしてワークライフバランスについて、これまでの在り方を見直すことが求められています。
 

経済環境

経済環境については、光熱費物流およびサプライチェーンを挙げています。

原油価格の高騰と円相場の下落などを要因とする光熱費の高騰は業績に大きな影響を与えています。スーパーマーケット白書2024年版によれば、業績への影響についての調査に対して、9割以上の企業が「大きな影響がある」と回答しています。また、9割近い企業が「事業継続に大きな影響がある」としており、深刻な事態となっています。これらに対しては、EMS(Energy Management System)の採用によって消費電力量を低減させる方策が考えられます。また、EMSによる効果は、契約電力量の低減によっても光熱費の削減をもたらします。また、自ら太陽光発電などの設備を導入することによって、自給自足体制を構築することも検討される必要があります。最近では、廃棄食用油や生ゴミなどを燃料にした再生可能エネルギーの調達が実用化段階にあり、電力の自給だけでなく脱炭素をも実現することができ、一石二鳥の効果が期待されています。

物流2024年問題は、2024年4月1日から働き方改革の一環としてトラックドライバーの年間の時間外労働時間の上限が960時間までに規制されることによって生じる様々な問題を指しています。トラックドライバーの働き方をめぐる現状の問題点は、長時間運転、荷待ち時間及び荷役作業が挙げられています。とりわけ加工食品物流においては、短いリードタイム、長時間待機、附帯作業 、厳格な日付管理、非効率且つ非合理な悪しき商慣行、小ロット・多品種・多頻度納品が指摘されています。働き方改革環境下で求められる物流を確保するためには、これらの問題を解消していかなければなりません。これらに向けて個別企業は勿論、そればかりではなく業界、更に業界を超えた製(製造業)、配(卸売業)、販(小売業)一体となった取り組みが求められます。今後の方向性は、2024年問題の対応は勿論、物流の効率化に向け官民一体となった取り組みとして、物流データプラットフォーム(Data Platform Construction)協議会の立ち上げが進められています。

 

自然環境の変化に依る資源枯渇ばかりではなく、世界各地で勃発する戦争、パンデミック、国際法違反国に対する経済制裁などによって、小売業にとってサプライチェーンは極めて不安定なものとなっています。安定的な商品供給を確保するためには、サプライチェーンとサプライヤーの実態把握はもとより、サプライヤーの分散、更には垂直統合に依る供給の確保などによってリスクの分散・低減化が図られなければなりません。また、本来サプライチェーンとは商品が開発されてから消費者に届くまでのプロセス全体を指すものですが、一般的には小売業の店舗に届くまでに限定されています。配送ラストワンマイルの課題、冷蔵庫までをも対象とするIoTの浸透などによって、今後は本来の意味通り消費者までのプロセスを対象と捉えていく必要があります。

消費者

消費者環境の変化については、人口動態の側面からのアプローチとして、共働き単身世帯および高齢化を挙げています。

共働き世帯は、1997 年(平成 9 年)から継続して専業主婦世帯を上回り、最新の調査結果である 2021 年(令和 3 年)には 68.8%に至っています。また、単身世帯は 2015 年(平成 27 年)には 14%でしたが、2025 年(令和 7 年)には 16%に達すると予測されています。 これは、10 年間で全世帯に対する一人暮らし世帯の割合が 7 人に 1 人から 6 人に 1 人になるということを示しています。そして、 2023 年(令和 5 年)現在で、全人口のうち 65 歳以上の人口は 29.0%、75 歳以上が 15.5%に及んでいます。これらが今後益々増加していくことは間違いありません。いずれも、品揃え、サービスなどにおいて対応を意識しなければならないことと言えます。

例えば、共働き世帯に対しては、調理時間の短縮化(食の時短)ニーズが想定されますから、食材/ミールキット/セミデリカ/デリカ/イートイン/グローサラントなど多様な選択肢の提供が求められ、単身世帯に対しては調理に関する共働き世帯と同様な対応に加えて、販売単位としての個食対応、また、高齢者に対しては総菜に対するスマイルケア対応、買物弱者対応として買物代行、宅配サービス、更に移動販売などが施策として考えられなければなりません。

消費者対応としてのディジタル化は、これまで高齢者を配慮しなければならない為アナログとの併用が求められてきました。然し乍ら、 2025年にはすべての団塊世代が75歳を迎えます。ディジタル・ネイティブとは比較にはなりませんが、後期高齢者はディジタルに対応できないという定説はそろそろ見直していく必要があるものと思われます。

競 合

競合環境の変化については、業態間競争の側面からのアプローチとして、ドラッグストアCVS(コンビニエンス・ストア)および EC (Electronic Commerce)を挙げています。 ドラッグストアのラインロビングの拡大、コンビニエンス・ストアの宅配サービスなど利便性の強化、EC の QC(Quick Commerce)への展開など、昨今の状況は業態間競争の激化を示しています。

​業態間競争を優位に展開する為には、生鮮食品・総菜の強化、価格競争力の優位性、そしてサービスの拡充が求められます。生鮮食品・総菜の充実はスーパーマーケット業態の生命線であり、極言すれば最後の砦として他業態に対する有力な武器です。サービスの拡充は、他業態対抗として図られる必要があり、例えば、宅配サービス、グローサラントなどが挙げられます。

 

一方、スーパーマーケット企業として、従来の業態としてのスーパーマーケットの範疇に留まることは最早思考停止を意味するものと言わざるを得ません。昨今のドラッグストアは、スーパーマーケット業態の主力商品である食品へのラインロビングを展開しており、一部企業ではグロサリーに留まらず既に総菜、生鮮食品へも浸出しています。スーパーマーケット企業が、食われる前に食うのであれば、如何なる方法を執るかは別として、ドラッグストア業態の主力商品・サービスである一般医薬品、健康美容商品、調剤への進出は当然に検討されるべき課題ではないでしょうか。米国のスーパーマーケットにおいては、調剤部門は一般的となっています。

 

また、EC については、アマゾン・エフェクトとして取り上げられたリアル(実店舗)対バーチャル(EC サイト)の図式ではなく、リアルへの展開を図るアマゾンとバーチャルを強化するウォルマートに習い、同様に方法は別として、店舗を単に売場であるだけでなく 同時に倉庫としても位置づけて、EC との融合を図っていかなければなりません。具体的には、マーチャンダイジング・システム及びOMO( Online Merges with Offline)としての顧客管理システム(CRM、Customer Relationship Management)の統合が必須です。

雇 用

雇用環境の変化については、昨今の労働環境の側面からのアプローチとして、人手不足賃金高騰および働き方改革を挙げています。

15~64歳までの生産年齢人口は、2020年(令和2年)の7,509万人に対し2026年(令和8年)には7,274万人、2030年(令和12年)には7,076万人になると予測されています。

 

人手不足の背景としては、真っ先にに少子高齢化による絶対的生産年齢人口の減少が挙げられますが、そればかりではなく、厚生年金、所得税などの優遇制度を適用する為の3号被保険者(サラリーマン世帯の被扶養配偶者)パートタイマーの自主的就業時間抑制も指摘されています。

人件費の高騰は、これまで正規社員と比較して低賃金であったパートタイマーに適用される最低賃金の上昇、更に働き方改革の規制によって、避けられないものとなってきています。令和5年度の最低賃金は、全国加重平均額で1,004円となっており、前年度に対して4.5%上昇しています。これまで、スーパーマーケットにおいては、正規社員と比べて低賃金であるパートタイマーの採用によって、総人件費を抑制してきた側面があります。しかしながら、パートタイマー比率は、既に飽和状態にあり、パートタイマー化による今以上の人件費の低減を図ることはできません。また、正規社員においても賃上げ促進税制に示されているように政府主導で賃上げが求められており、抜本的対策を取らない限り今後経営にとってはより厳しい状況となることは間違いありません。

 

働き方改革における同一労働同一賃金が適用されれば、正社員と比べて低賃金で済むパート社員によって生産性を維持することはできなくなり

ます。同一労働同一賃金は、一律に適用されるわけではなく条件により適用が除外される場合もありますが、パートタイマーの時給を正社員以上の率で上げていかなければならないことは間違いありません。また、社会保険などの企業負担も法制改正により負荷が高まることは必至です。

 

雇用環境に対しては、LSP(Labor Scheduling Program)の精度向上による効率化、ロボットの導入による省力化、AIによる業務支援あるいは代替などを進めると共に、シニアあるいは外国人雇用の拡大を図る環境整備が求められます。また、働き方改革に対しては、まず勤務実態の正確な把握に基づく超過勤務の低減、年次休暇の消化率向上が必要です。法制改正、即ち、配偶者控除の上限額の上昇、厚生年金加入条件の緩和、非正規雇用従業員の無期転換ルールの施行などについては何よりも生産性の向上が求められます。

課題

マーチャンダイジング 品揃え/価格政策/販促

マーチャンダイジングについては、その主要要素として、品揃え価格政策および販促(インスト・アプロモーション)が挙げられます。

品揃えにおいては、他業態のラインロビングに対する差別化として生鮮食品の充実強化が必須です。また、総菜に対しては、家庭料理の延長ではなく、食の安全、安心と言う見地からの衛生管理の下に、プロフェッショナルな調理人を擁し「家庭では簡単には出来ないもの」を提供していかなくてはなりません。一方、PB 商品については、従来の NB より品質においては同等あるいはやや劣るが低価格という路線に留まらず、NB では代替の効かない独自商品開発を目指す必要があります。

 

​適正在庫の確保は、主力商品として生鮮食品を取り扱うスーパーマーケットにおいて、とりわけ重要です。在庫不足による機会損失と過剰在庫による商品廃棄は共に営業利益を圧迫しますが、後者はそればかりでなく企業の社会的責任が問われる課題でもあります。その為には、AI を駆使した情報システムとオペレーションシステムをシームレスに連携させた商品自動補充発注システムが求められます。オペレーションシステムは、店内設置カメラおよび重量センサーによって店頭商品の在庫状態をモニターし、バックヤードから商品を自動的に補充するものです。バックヤードの商品在庫の取り出し、運搬および商品補充陳列は、自動あるいは遠隔操作ロボットに委ねることができます。店頭商品補充の自動化は、同時に無人化による非接触を実現します。

 

価格政策においては、スーパーマーケットの本質としてのマグネット・アイテム価格政策(ハイ&ロー価格政策)に対する見直しとして、 EDLP(Everyday Low Price)価格政策が提唱されてきました。しかし乍ら、その実現には圧倒的な低価格を継続的に維持できる商品調達力が条件となります。一方、ハイ&ロー価格政策では、行動経済学の見地から、特売の乱発により消費者参照価格(消費者の意識の中で植えつけられる適正価格)が形成されることを避けなければなりません。従って、値引ではなく特別ポイント付与などの参照価格が形成されにくい手法を取ることが得策です。また、スーパーマーケットにおいても、消費者価値への対応と言う見地から、生鮮食品の閉店時刻に向けた値引設定に留まらないダイナミック・プライシングの適用が求められます。その為には、販売実績などに加えて、季節、曜日、時間帯、天候、鮮度、競合価格、在庫状況、人気度など従来人手によって加味されていた情報の取込みによる AI を駆使した適切な価格設定が前提となります。

 

更に、算出された変動価格を即時に反映させるためには、POS システムとの自動連動はもとより、一瞬にして売価表示を変更することができる電子棚札を設置する必要があります。このことによって、売価設定の省脳化、適正化へのアプローチが期待できると共に、棚札の張替えによる従業員の省力化を図ることができます。

 

​販促(インストア・プロモーション)については、非価格主導型として、特別陳列、POP、クロス・マーチャンダイジング、デモ販売、キャンペーンなどが挙げられます。POP については、従来の紙媒体を双方向デジタルサイネージに置き換えることによって、時間帯のみならず通過顧客の反応によってコンテンツを自在に変えることができます。クロス・マーチャンダイジングについては、ID-POS データの AI による併買商品分析に基づく展開が求められます。デモ販売についてはライブ・コマースによる代替ができます。ライブ・コマースは、店舗に要員を配置することなく、遠隔地に居る従業員が無人の売場の買物客に対してリアルタイム双方向コミュニケーションによる販売を行うことができるものです。また、売場が有人であっても、外国語対応など各店舗に要員を配備することが困難な接客に活用することもできます。

課題

ローコストオペレーション LSP/RPA/ロボット

スーパーマーケットの営業利益率は、スーパーマーケット白書2024年版によれば2023 年において平均 1.98%と極めて低く、生産性の低さが特徴とさえ言えます。低生産性からの脱却の為には、ローコストオペレーションの推進は欠かせません。また、単にローコストオペレーションの実現のみならず、マーケティング、マーチャンダイジング、マネジメントなどあらゆる企業活動において、IT の恩恵を享受することが必要です。そして、直ちに導入することが必ずしも得策ではないテクノロジーに対しても、その適用に関し継続的に検討する態勢を整備することが肝要です。

ローコストオペレーションについては、それを支えるシステムツールの側面からのアプローチとして、LSP(Labor Scheduling Program)RPA(Robotic Process Automation)およびロボットを挙げています。

 

LSP は、本来あるべき” 業務に要員を割り当てる” と言う考え方の実現によって、要員の過不足を排除することができます。同時に就業管理システムと連動させて PDCA サイクルを回し、働き方改革と労働分配率の低減という二律背反を同時に図ることができます。

 

RPAは、繰り返し行われる PC 業務の自動化ツールです。事務的業務の効率化に大きく寄与することが期待できます。

 

ロボットについては、店内清掃、商品陳列棚案内、宅配への全自動対応が挙げられます。また、ロボットによる作業者に対する支援として、店頭への品出し、駐車場に置かれたカートの回収、視覚障がい者などのアテンドが実用化段階にあります。

課題

マーケティング One to One/OMO/顧客体験

マーケティングについては、そのキーワードとして、One to OneマーケティングOMO(Online Merges with Offline)および顧客体験を挙げています。

 

2022 年(令和 4 年)現在で、15 歳~79 歳の男女のスマートフォンの個人別普及率は 94%に達したことが明らかにされています。スマートフォンの普及率は、団塊の世代のすべてが後期高齢者となる 2024 年には更に上がることは間違いなくマーケティング・ディバイスとして避けて通れないものとなっています。

 

スーパーマーケットにおいては、これまで折込みチラシに代表されるマス・マーケティングが主流でしたが、ICT の劇的な高度化を背景として、消費者性向の多様化と競争の激化によって One to One マーケティングの要請が高まっています。One to One マーケティングの前提は顧客の ID 化です。顧客の ID 化は小売企業にとってのマーケティングの手段ですが、顧客にとってのメリットが訴えられなければ進展しません。ポイント(FSP)などのインセンティブ、キャッシュレスなど決済手段としての利便性、顧客のベネフィットを追求する情報提供をスマホアプリで実現することが求められます。

 

One to One マーケティングの媒体としてのスマホアプリにおいては、他社に対する優位性と差別化を具現化するコンテンツの構築が肝要です。情報提供においては、消費者理解に基づいた顧客の興味が得られる商品・サービス情報が必要です。例えば、買物見込顧客へのキャンペーン、新商品案内、来店ポインの付与、店内回遊顧客への推奨献立、商品の提案、クーポンの提供などが考えられます。

 

OMO(Online Merges with Offline)は、バーチャル(EC)とリアル(実店舗)の融合を意味する言葉で、競合業態であった EC との融合を図るビジネスモデルです。商品注文と商品受取に関して、多様なサービスを提供することが求められます。注文としては店頭及びスマホ、受取としては持ち帰り、店内カウンター、ロッカー、駐車場及び宅配が挙げられます。

 

顧客体験 (カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験です。顧客体験は、顧客接点の集合体です。顧客接点は、関心、購入、利用といった企業との接点です。顧客体験が重要視される以前から、顧客満足度や顧客関係はマーケティングにおいて重要とされていました。しかし、スマホなどの普及とともに、顧客接点は以前よりもはるかに多くなりました。このよう:な顧客接点の増加は、消費者にとっても小売企業にとっても多くのメリットがあります。このような状況のなかで、より効果的なマーケティング戦略を考えていくためには、顧客体験というものを改めて考え直す必要性が出てきています。

課題

クレンリネス 害虫・ネズミ/クリンネス/食品法

クレンリネス(Cleanliness)とは、清潔という意味の英語で、店舗が衛生的で清潔である状態を保つための作業を指します。一方、クリンネス(Cleanness)は清潔である状態そのものを指す言葉です。つまり、クレンリネスによってクリンネスを保つということです。

クレンリネスについては、害虫・ネズミ駆除、クリンネスおよび食品法を挙げています。

 

​害虫・ネズミ駆除については、死滅させるということだけではなく、その目的から追い払うという考え方を取ることができます。店内に害虫・ネズミを寄せ付けないようにする装置の導入によって、食の安全、安心を図ることができます。

 

食材のみならず、セミデリカ、デリカ、グローサラントなど総菜提供においては、食中毒のリスクが伴います。食中毒の 85%は、食品それ自体に由来するものではなく調理従事者による二次汚染が発生要因ですから、手洗いの励行が極めて重要です。正しい手洗いを励行するためには、必要な都度手洗いを実施する習慣をつけることが必要ですが、加えて、適切な手順と所要時間が遵守される自動手洗い装置などの採用が求められます。 さらに、ロボットを店内清掃に加えて店内消毒に活用することも考えられます。AI 搭載のロボットは、あらかじめ記憶させたルートの自動走行、障害物の回避などができる掃除機であり、店舗のクリンネスを維持する為の作業の省力化に寄与します。

 

​食品衛生法の改正は、外食産業のみならず、食品を主に扱う小売業であるスーパーマーケットにおいても対応を要する事項です。その内容は、食中毒、HACCP、健康被害、包装容器、営業許可、リコール情報報告など多岐に渡りますが、その遵守徹底が励行されなければなりません。

課題

サステナビリティ Pet・レジ袋/食品ロス/EMS

サステナビリティは直訳すると持続可能性であり、環境・社会・経済の観点から、今後長期間にわたって地球環境を壊すことなく、資源も使い過ぎず、良好な経済活動を維持し続けることを意味する言葉です。SDGs(エス・ディー・ジーズ、Sustainable Development Goals)は、持続可能な開発目標の略称です。SDGs は、2015 年 9 月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟 193か国が 2016 年から 2030 年の 15 年間で達成するために掲げた 17 の目標です。

 

​サステナビリティについては、スーパーマーケットに特に関わりの深い PET・レジ袋食品ロスおよび EMS(Energy Management System)を挙げています。

 

サステナビリティは、小売商店の段階においては別論ですが、流通企業として成長していく限りにおいては今や避けて通れないテーマです。特に、環境問題に対する取り組みは、それ自体が重要であるだけではなく、それらに対して積極的な姿勢を顧客のみならず採用予定者などを含む社会に対してアピールすることが重要です。

 

PET ボトルのリサイクルおよびレジ袋の削減は、消費量の増大による石油資源の枯渇と廃棄処分による自然環境の破壊の見地から必要です。PET ボトルのリサイクル率は、世界的にも極めて高い水準にありますが、未だ進展の余地があります。自治体による分別回収の補完あるいは曜日を選ばずに回収サービスを実施することによって、来店頻度の向上を図ることもできます。

 

​食品ロスも近年社会問題として大きく取り上げられています。スーパーマーケットにおいても、商品廃棄の最少化に取り組んでいく必要があります。需要予測に基づく的確な補充発注、時間帯別の販売動向に応じた適確な総菜の準備、閉店に向けた迅速な値引判断を実現する仕組みの構築がその前提となります。

 

店舗に要する消費電力の削減は、削減効果のあるシステムの導入に対して助成金が設けられている通り、社会的要請でもあります。店舗内の主要な電力消費設備は、冷凍冷蔵ケース、店内空調および店内照明です。これらを一元的に管理し、自動制御することによって 消費電力量を低減させることができます。

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